良いサブリース、悪いサブリース
不動産投資、収益不動産経営は不労所得を目指すものと定義すれば、不動産業者とのサブリース契約も一定の評価を与えられる形態です。但し、その内容が問題なのです。
悪いサブリースはオーナーが持つリスクの本質を理解していない
建築業者がサブリースで一括借上げも行うと?
サブリースには導入の経緯から「建築系サブリース」と「管理系サブリース」の2種類があります。建築系サブリースの場合、サブリースは文字通りサブの位置付けになりがちです。何故なら、建築工事の請負自体、発注者が相見積もりをしない限り、注文者と請負者の関係はどうしても「利益相反」の関係になってしまう。すなわち、注文者は費用を出来るだけ低く抑えたい、それに対し請負い側は出来るだけ(合法的に)工事による利益を高く確保したい。
このため、建築業者が一括借上げサブリースも行う場合は、様々な「利益相反」による操作が行われがちです。例を挙げると*長期事業収支計画における(幻の?)家賃設定
*30年保証(同じ家賃で30年間は支払われない)の嘘 *勝手に借上げ賃料を下げられてしまう *変な入居者を入居させてしまう *借上げ賃料から別の名目の費用(システム費、共済会など)を控除されてしまう *原状回復費用、外壁塗装修繕費用が割高 等々です。
税引前CFでサブリースがうまくいくか分析する
サブリース契約により賃貸事業運営が上手く回るかどうかは数字で判断するしかありません。
肝心なのは、1年を通して発注者兼貸主のオーナー様のどのくらいの手残り現金があるか、です。手残り現金のことを「税引き前キャッシュフロー(BTCF)」と呼びます。
例えばアパート建築資金のうち6000万円を30年ローンで調達したとします。サブリース業者の借上げ賃料が年間430万円で、そこから運営費とローン返済額が300万円かかるとBTCFは130万円、月額にして約10万円です。6000万円の借金で月に10万円しか残らない事業というのは成功と言えるのでしょうか?しかも、この借上げ家賃は30年に亘って保証はされず、3割下がってしまったら事業自体赤字になってしまいます。
赤字になったその時点で物件の売却を行おうとしても、新築当時で投下資金に対する収入表面利回りが7%の水準では売却は困難です。かなりの値下げを覚悟しなければならず、売れたとしてもローン債務残高が残ってしまう可能性があります。
良いサブリースとは?
前項まで述べたように、悪いサブリースとはわかりやすく言うと「利益相反」で取引が始まった関係のオーナーの課題が解決しないサブリース契約でした。
これに対して地域密着型管理会社が目指す方向は「オーナー様の手残り現金を中長期的に増やす賃貸管理」です。空室対策や賃貸経営に関するトラブル解決の助言から管理を受託して、実質的な稼働率を上げて、かつ家賃滞納予防できるように「滞納保証型借上げサブリース」でオーナー様に安定した収益をもたらすように「BTCF」を意識した管理を進めていくでしょう。
大手メーカからのサブリース物件の管理切替えや物件買い換え売却等の手法でオーナー様の所有資産価値を上げるためのサポートを展開していければ、オーナー様にとって、頼もしい存在でしょう。

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