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2017年09月19日
仲介現場の舞台裏

調整地域の農家住宅売却依頼

市街化調整区域内の農家用住宅を相続された方からの売却可能性について問われました。当社訪問前に他の不動産会社に寄って聞いたところ、その会社では取り扱わないとの反応だったそうです。

相続の権利証、建築確認等資料一式を持参のご夫婦


対象不動産に関する一連の資料を拝読して分かった事は、

◎調整地域内の農家住宅である。◎宅地80坪余と2反余りの農地が付いている。

◎住宅は平成10年築だが、被相続人死亡後長年に亘って空家のまま放置されており、管理放置で損耗が激しく、取り壊すしかないと相続人は思っている。

◎相続人は女性で非耕作者なので農地は農業公社を通じて荒れ地にならない程度に有料で管理してもらっている。

◎市役所にも寄って本物件土地(宅地)上の再建築は基本的に不可。但し、現所有者(相続人)名義で同用途(農家住宅)同規模(床面積)建物の建築確認を取得できる可能性はありますが、との説明を受けたとか。

どんな物件でも売却受託できるわけではない


相続してから、その建物に住んだ事もなく、宅地、農地を自分で利用したことも無い。管理していく自信も能力も無いので「0円」でも良いから売却できないか、という切実な相談だったのですが、当社も「全ての不動産が売却受託できるわけではありません。」扱えない理由としては、

1,農地の売買仲介は宅建業者の対象外で農地法の制限を受けるので、耕作者以外の一般消費者へ仲介できない。

2,従って宅地のみ売買出来たとしても農地はこれからも相続人名義のまま変えられない。当然、管理義務は相続人に属する。

3,「農家住宅」としての宅地建物売買を基本的には取り扱いたくない。

最も懸念される点は、農家住宅の手続きを購入時に適法に処理しておかないと、将来の建替えや土地を売却する時に必ず大きな問題が発生する事です。
その為の要件として、先ずは①売主が現在適法に不動産を所有している必要があります。例えば、分家住宅として許可を得た案件であれば、許可を得た方が申請内容どおり利用している(いた)事が求められます。②次に売主にも売却にいたるやむを得ない合理的な理由が必要です。この場合、所有者が債務者となった金融機関による競売の差押登記等があれば確実です。
また、買主側にも、③職場との距離関係や、現在持ち家や土地を所有していない等、住宅を求める合理的な理由が必要です。更に④購入した後も適法に申請理由どおり使用する義務があり、貸家にしたり、用途を店舗にしたりすると、以降は適法に処理をする事が困難となり、建替えや売却に支障が生じます。

行政のルールが変らない限り売却は困難か


前章で述べたように、本対象不動産については、調整地域内の農家住宅という制限内容があまりにも厳しく、自由な取引自体が困難になっています。

未来に向けて、農業をやりたいという個人の需要が増えていけば全く別の話になるかもしれませんが、現状ではほとんど需要もなく、我々不動産業者が重点を置いて再開発できる案件でもありません。

申し訳ありませんがご依頼には応えられません、との回答とさせて頂きました。

この記事を書いた人
鈴木 光浩 スズキ ミツヒロ
鈴木 光浩
埼玉県加須市で24年間不動産に関わる事業、取引を続けてきました。 最近は公益社団法人の理事職も兼任しています。還暦も過ぎたので 頑張らず、我慢せず、根性持たずのゆるゆるペースが仕事の基本ですが、 不動産売買の本質、賃貸不動産経営の本質的な問題について理解した上で 各種コンサルティングを日々行なっています。自分自身で収益物件の購入・ 売却、賃貸経営を実践しています。失敗も成功も経験ありますので案件に 適した提案が出来ると思います。趣味は心身の健康書籍の読書と将棋観戦。 世の中で起きていることを見ること、聴くことが好きで、好奇心に満ち、 ときたま書くことや写真を撮ることに夢中になります。
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